知識はツリーではない: 実験的知的生産プラットフォーム Oinker.me の紹介

今回はちょっと趣向を変えて、このゆびてくを運営しているたまチームの活動について紹介したいと思います。

たまチームでは、仕事の合間時間を利用して Oinker.me というWebサービスを開発しています。ちょうどこのサイトのドメインが ubiteku.oinker.me になっているので気づかれた方もいるかもしれません。

Oinker · Chat, Connect and Grow Your Ideas.

Oinker · Chat, Connect and Grow Your Ideas.

このWebサービスは、元々たまチーム内の情報共有のために気軽に使えるものをということで立ち上げたものですが、それと同時にそれまでの情報管理や知的生産のあり方に対する問題意識を出発点に「新しい知的生産のあり方を模索してみよう」という目的を持つ、実験的な色合いの濃いプロジェクトでもあります。

しばらくチーム内で使ってみて感触を試した後、これはなかなか良さそうだという事で公開してから既に一年以上が経過しました。今のところ利用者の数はそれほど多くないですが、たまチームにとっては欠かせない道具になりつつあります。

まず、Oinkerがどういうものかを知ってもらうためには以下の動画を見て頂くのが早いと思います。サービス公開当初に作った動画なので現状の見た目とは若干異なる部分もありますが、基本的なコンセプトは変わっていません。

よくあるチャットアプリのように、部屋を作ってチャットをする、そしてその発言をドラッグ&ドロップで保存したり繋げたりする。たったこれだけのシステムです。

connect-oink

今時のコミュニケーションにとってチャットは欠かせないツールになりました。組織やチームでの知的生産においても重要な役割を占めています。Oinkerではそのチャットの発言を切り取って保存したり、発言同士をつなげたりする仕組みを提供します。

チャットで議論していても発言はどんどん流れて行ってしまうし、重要な論点はなんだったかなと過去ログを遡るのもノイズが多くて面倒なものです。そう考えると、チャット上の重要な発言を保存しておきたいというニーズは普通にありそうです。でも、Oinkerにとって本当に重要なのは発言同士をつなげるという行為です。チャットのような気軽なディスカッションの内容を材料にして大きな情報を組み立てていく、これが Oinker の醍醐味です。

世の中の多くの情報管理ツール、あるいは情報共有の方法はトップダウンが基本です。予め決められたテーマや枠組みに沿って情報を整理して行く。蓄積した情報を後々探しやすくするために「整理」するというのが、このような情報管理の目的です。Oinkerではそこを逆転して、日常のあらゆる場面で発生するコミュニケーションや、個人的なメモ・つぶやきを材料にして、自然発生的に必要な情報やアイデアを立ち上げて行くというボトムアップのアプローチを取ります。

トップダウンの情報管理が「整理」に主眼を置くとすれば、ボトムアップの主眼は「発見」ということになるでしょうか。

もちろん、どちらかを選択したらどちらかを捨てるというような単純な二者択一ではありません。あくまでどちらに重点を置くのかということになりますが、たまチームでは若干の秩序を犠牲にして発見にフォーカスしたら情報管理はどのようになるだろうという興味を持ってOinkerというWebサービスを開発しています。

ボトムアップで組み上げた情報は、トップダウンの時のような綺麗なツリー構造にはなりません。これが表題の「知識はツリーではない」の意味です。このスローガンは有名な建築家であるクリストファー・アレグザンダー氏の論文「都市はツリーではない (A City is not a Tree)」からヒントを得ました。

Oinkerでは以下のような感じで、一つの情報を複数の情報の下に置く事ができます。

multi-parent

アレグザンダー氏の論文では、人間の脳には物事をツリー構造で捉えようとするバイアスがある、という研究が紹介されています。脳の負荷を減らすために、視点や文脈を一つに絞り、単純化して物事を把握しやすくする。それ自体はとても合理的な認知機能ですが、反面、視点を固定する事で発想の幅は狭まります。単一視点のツリーのような分かりやすさを若干犠牲にして、複数の視点から物事を眺める、複雑な構造をある程度複雑なままアウトプットに反映する。自然発生的に生まれた都市が、計画的に作られた都市と違って生き生きとしているのはそのような違いがあるからなのだとアレグザンダー氏は言います。

建築・都市計画におけるこのような考え方を知的生産の分野に応用したらどうなるのかという取り組みの一例が Oinker だと言っても良いのかもしれません。

さて、たまチーム内では完全に定着したこの Oinker ですが、まだ最初のアイデアを形にしただけの小さなシステムです。色んな方々に使って頂いて「ここをこうしたらもっと良くなるのに」とか「こんな使い方もできるよ」といったような意見や感想を是非是非聞いてみたいと思っています。面白そうだなと思った方は是非、https://oinker.me をお試し頂いて、このブログのコメントやTwitterのハッシュタグ #oinkerme でつぶやいて頂けたらとても嬉しいです。

Oinkerにまつわる知的生産の話は「知識はツリーではない」シリーズとして随時ポストして行く予定ですので、Oinkerに興味を持って頂けた方は是非こちらもフォローしてみて下さい。

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