自律的なチームを「管理」するという矛盾にどう立ち向かうか

シュレーディンガーの猫
シュレーディンガーの猫

組織とはそもそもピラミッド(階層構造)なのだということを、筆者の中で今流行りのハーバート・サイモン先生は主張して目出度くノーベル賞を獲得したのだが、時代は変わってチーミングの本では、そのピラミッド型組織が親の仇のように扱われていた。

21世紀になって、それまではどちらかと言えば個人の才能に頼っていたイノベーションという難題に、組織として取り組む企業が出現し始め、それに成功した企業が高い競争力を持つようになったため、チーミングやらボトムアップ組織のようなものが脚光を浴びるようになったというのがその背景だ。

しかし、組織とはそもそもピラミッドなのである。その中では、上位の人間の役目は下位の人間を「コントロール」して成果を出す事だと信じる人間が圧倒的なマジョリティを占めるだろう。

このような環境の中で、自律的に考えて動くチームを組織の中心に据えるというのは、相当な難題である事は想像に難くない。

この「自律的なチームを組織の中でどう育てるか?」という、一見矛盾するかのように思える問題を、量子力学の「シュレーディンガーの猫」に喩えて解説したのが、Instagram で技術責任者を務める James Everingham 氏だ。

観測という行為自体が観測対象に影響を与えてしまうという「観察者効果」のメタファーは、自律的なチームを管理するという矛盾(難題)をうまく表現していると思う。管理者は常に、自分が介入する事でチームの自律性(シュレーディンガーの猫)を殺してしまう可能性があることに注意を払う必要がある。

Everingham氏が提案する、量子力学的チームマネジメントの5つの法則はこちら。

  1. 成功のパターンを出来るだけ沢山想定すること。
  2. 観察者効果を常に意識すること。
  3. 箱を開ける(観測する)タイミングを心得ること。
  4. 自律性を壊さずにチームに良い影響を与える方法を心得ること。
    • 背中を見せる
    • 共感による動機付け
    • インセンティブ
    • 連帯感
  5. チームが正しい方向に向かっているか、外部からのフィードバックに常に気を配ること。

この新しいマネジメント手法のエッセンスは、当該記事の最後の言葉に集約出来るかもしれない。

By not suggesting a destination, we all ended up somewhere extraordinary — a place I didn’t even know we were going.

「あえて行き先を押し付けない事で、想像もしなかったような、すごいところに到達できる。」

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