さてチーミングを始めようということで、新しいチームに集まった人間が自分も含めてたったの二人だと知ったとき、私は目の前が真っ暗になるのを堪えながら、心の中で何かがこみ上げてくるのを感じました。
前回紹介したように、多くの人が複数の仕事に従事するようになった結果、新しいチームに専念できる人間がその二人しかいなかったのです。
チームに緩やかな境界を設定する
しかし、無い袖は振れないという事では仕方がありません。段階的にチームビルディングしていくことを考え、チームに緩やかな境界を設定する事にしました。
まず、チームに専念出来る人を「構成員」、たまに作業に関わる人を「準構成員」としました。その他は、ミーティングに参加自由の「オブザーバー」というものを設定して、これらを緩やかなチームの境界とします。
- 構成員(専任)
- 準構成員(作業に関わる人)
- オブザーバー(ミーティングに参加する人)
チームの名前を決める
チームの構成を決めたら、次はチームの名前を考えます。元々、手薄だったインフラ周りの仕事を担当するために結成されたチームだったので「インフラチーム」で良いんじゃないかという声もありましたが、チーミングの考え方からいって「機能」を名前にするのは出来るだけ避けたいと断固主張し、何か良い名前はないかと皆で思案した結果、ある構成員のアイコンが「リ○ックマ」だったという安直な理由で「クマ組」という名前に決まりました。
チーミングの本を購入する
そもそも私以外のメンバーは「チーミング」という言葉を聞くのも初めてです。まずは方向性を共有するために、教科書となる本を買って皆で少しずつ読んで行く事にしました。
『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』
この本の内容を簡単に説明すると、
「成功している組織やプロジェクトを調べるとどうも共通点があって、それは「チーミング」と名付けた方が良いのでは(と勝手に著者が思ってる)、という本」
という感じになります。沢山の事例が出てくるという事もあるのでしょうけど、内容が若干散漫なので、もうちょっとまとめてくれないかな? という気もしないではありません。というわけで、下のようなマインドマップを作って随時更新するようにします。
今回のプロジェクトで最初の課題だと考えているのは「学習の場」の部分です。前回説明したように、組織がピラミッド化していくにつれて、エンジニア間の横のつながりが薄くなってしまい、知識の交換が行われる機会がかなり少なくなっていました。こうなってしまうと、学習や成長は個人の責任になってしまい、組織で働く意味がなくなってしまいます。そこで横のつながりを復活させて再び知識の共有が行われるようにしよう、というのが我々の最初の目標になります。
情報共有の拠点を作る
というわけで、まずは情報共有の拠点を作るというのが、我々がチーミングを始めるに当たっての第一歩になりました。
情報共有の拠点としては、GitHubというサービスを選択してみました。ここに一つのリポジトリを作って情報共有の拠点とします。GitHubは本来プログラマーが協働するためのプラットフォームですが、この環境を利用してプログラマーが協働するのと同じような方法でチームの知識を開発して行く事にします。
(続く)